座位ステッピングテストのやり方と評価基準|立位ステッピングテストとの違い
この記事の結論
座位ステッピングテストは、椅子に座ったまま、幅30cmの2本のラインの外側と内側へ、つま先をできるだけ速く交互につく回数を20秒間数えるテストです。厚生労働省の「転倒等リスク評価セルフチェック票」の5つの体力テストの1つで、敏捷性を見ています。評価は24回以下が1、25〜28回が2、29〜43回が3、44〜47回が4、48回以上が5。座ったまま測れるので転ぶおそれが小さく、職場で最初に取り入れやすいテストです。立ったまま足踏みする「立位ステッピングテスト」は別のテストで、セルフチェック票には入っていません。
座位ステッピングテストの評価基準
| 20秒間の回数 | 評価 |
|---|---|
| 24回以下 | 1 |
| 25〜28回 | 2 |
| 29〜43回 | 3 |
| 44〜47回 | 4 |
| 48回以上 | 5 |
出典:厚生労働省「転倒等リスク評価セルフチェック票」評価表(男女共通)、中央労働災害防止協会「転倒等災害リスク評価 セルフチェック実施マニュアル」。
評価は男女共通で、年齢による区分はありません。5つの体力テスト(2ステップテスト・座位ステッピング・ファンクショナルリーチ・閉眼片足立ち・開眼片足立ち)の評価をレーダーチャートに並べ、同じ能力について本人が答えた質問票の結果と重ねて見る使い方です。セルフチェック票全体の読み方は転倒等リスク評価セルフチェック票の使い方にまとめています。
準備するもの
- 椅子/背もたれがあり、座面の高さが約40cmのもの。回転する椅子は使わない
- ラインを引くテープ/椅子の中央を基準に、足元に幅30cmの2本のラインを引く
- ストップウォッチ/20秒を計る
- 記録用紙/セルフチェック票
やり方
- 座る/椅子に浅く座り、両手で座面を握って体を安定させる。両足は2本のラインの内側に置く
- 練習する/約5秒、動きを練習する。終わったら足を内側の位置に戻す
- 測る/「始め」の合図で、片方のつま先をラインの外側の床につき、次に内側の床につく。この動きをできるだけ速く繰り返す
- 数える/20秒間に、内側へ両足のつま先をついた回数を数える
- 記録する/回数をセルフチェック票に書き、上の表で評価に換算する
数えない動き
- ラインを踏んだとき
- 足を床にこすって動かしたとき
- つま先が床に触れていないとき
手順は中央労働災害防止協会「転倒等災害リスク評価 セルフチェック実施マニュアル」によります。実施にあたってはマニュアルの原文をご確認ください。
職場で測るときの注意点
- 椅子が動かないようにする/勢いよく足を動かすので、椅子がずれると危険です。壁際に置く、床が滑らない場所を選ぶ
- 数える人を別に置く/本人が数えながら動くと回数が落ちます。測る人と数える人を分けると記録が安定します
- 同じ条件で続ける/椅子の高さやラインの幅が変わると比べられません。毎年同じ椅子・同じテープの位置で測ってください
- 結果の扱い/評価が低かった人の配置や作業の見直しは、本人と話し合い、産業医の意見を踏まえて会社が決めることです。測定はその材料を出す役割です
座位ステッピングは5つのテストのなかでいちばん転ぶおそれが小さいテストです。ファンクショナルリーチや片足立ちは測定中にバランスを崩すことがあるため、壁際で行い、支えられる補助者を置いてください。片足立ちの測り方は片足立ちの平均と測り方にあります。
立位ステッピングテストとの違い
| 座位ステッピングテスト | 立位ステッピングテスト | |
|---|---|---|
| 姿勢 | 椅子に座る | 立つ |
| 動き | 2本のラインの外と内へ、つま先を交互につく | その場でできるだけ速く足踏みする |
| 時間 | 20秒 | 研究では5秒 |
| 見ているもの | 敏捷性(足をすばやく動かす力) | 立ったまま足をすばやく入れ替える力 |
| セルフチェック票 | 入っている | 入っていない |
| 転ぶおそれ | 小さい | 立って行うぶん、補助者が要る |
施設に入所する高齢者を対象にした研究では、5秒間の足踏み回数を座位と立位で測り、立位の回数が17回を下回る人で転倒の危険性が約7倍になると示唆されたと報告されています。座位の回数では、転倒した群としなかった群に有意な差はありませんでした。
出典:池添冬芽、市橋則明、島浩人、浅川康吉「高齢者の転倒を予測するためのステッピングテストの有効性」(医学書院、2009年11月)
この17回は特定の対象者で得られた研究上の値で、職場の判定基準ではありません。セルフチェック票の座位ステッピング(20秒)とは時間も動きも違うので、数字をそのまま比べないでください。
機器で測る方法との組み合わせ
セルフチェック票の5つのテストは、道具をそろえれば費用をかけずに始められます。一方で、測る人によって数え方がぶれる、1人ずつ時間がかかるという面もあります。
立位のバランスを機器で測る方法として、StA²BLE(ステイブル)があります。指先に専用のデバイスを付けてボードの上で約1分立ち、ふらつきと立て直しの様子から立位年齢®を出します。測る人による差が出にくく、同じ条件で毎年比べられます。職場での組み合わせ方は職場の体力チェックの進め方にまとめました。
あわせて読みたい:高年齢者の労働災害防止のための指針(2026年4月から努力義務)/法人の健康測定会パッケージ(体力把握・費用つき)
よくある質問
Q1. 座位ステッピングテストとは何ですか?
A. 椅子に座ったまま、足元の幅30cmの2本のラインの外側と内側へ、つま先をできるだけ速く交互につく回数を20秒間数えるテストです。厚生労働省の転倒等リスク評価セルフチェック票の5つの体力テストの1つで、敏捷性を見ています。
Q2. 評価基準を教えてください。
A. 20秒間の回数で、24回以下が評価1、25〜28回が2、29〜43回が3、44〜47回が4、48回以上が5です。男女共通で、年齢による区分はありません。
Q3. 何を準備すればいいですか?
A. 背もたれがあり座面の高さが約40cmの椅子(回転椅子は使わない)、幅30cmの2本のラインを引くテープ、20秒を計るストップウォッチ、記録用紙です。
Q4. 数えないのはどんなときですか?
A. ラインを踏んだとき、足を床にこすって動かしたとき、つま先が床に触れていないときは数えません。20秒間に内側へ両足のつま先をついた回数を数えます。
Q5. 立位ステッピングテストとは違うのですか?
A. 違うテストです。立位ステッピングテストは立ったままその場で速く足踏みした回数を数えるもので、研究では5秒間で測っています。セルフチェック票に入っているのは座位ステッピングテスト(20秒)です。
Q6. 立位ステッピングテストの基準はありますか?
A. 施設に入所する高齢者を対象にした研究で、5秒間の立位の足踏みが17回を下回る人は転倒の危険性が約7倍になると示唆されたという報告があります(池添ほか、2009年)。特定の対象者で得られた研究上の値で、職場の判定基準として公的に定められたものではありません。
Q7. 座位ステッピングテストは何歳から使えますか?
A. セルフチェック票は職場で働く人を対象にしたもので、評価表に年齢の区分はありません。高年齢の方に限らず、同じ方法で毎年測って変化を見る使い方ができます。