職場の体力チェックの進め方|実施手順・人数と時間・道具・費用の目安
この記事の結論
職場の体力チェックは、やり方が3つあります。①厚労省のセルフチェック票を自前で行う(道具代のみ、1人10分前後)、②測定機器をレンタルする(StA²BLEなら1日55,000円〜、1人約1分)、③測定会を委託する(体力測定と体組成などを組み合わせ100名で350,000円〜)。30人までなら①、50人以上を短時間で測るなら②、項目を増やして健康経営の施策にもしたいなら③が目安です。どの方法でも、実施前に本人の同意と結果の扱いを決めておくことが先です。
なぜ今、職場で体力チェックなのか
2026年4月1日から、高年齢者の労働災害防止のために必要な措置を講じることが、すべての事業者の努力義務になりました(改正労働安全衛生法第62条の2)。同年2月10日に公示された「高年齢者の労働災害防止のための指針」は、5つの措置の3番目に「健康や体力の状況の把握」を置き、体力チェックを継続的に行うことが望ましいとしています。
- 目的/事業者と本人の双方が、その人の体力の状況を客観的に把握する
- 方法/フレイルチェックや身体機能のセルフチェックなど、事業場の働き方に合わせて選べる
- 対象/年齢を一律の数字では示しておらず、事業場の実情に応じて青年・壮年期から実施することが望ましい
指針の全体像は高年齢者の労働災害防止のための指針とはにまとめています。
3つの方法を比べる
| ①セルフチェック票を自前で | ②機器をレンタル(StA²BLE) | ③測定会を委託 | |
|---|---|---|---|
| 測るもの | 2ステップ、座位ステッピング、ファンクショナルリーチ、閉眼・開眼片足立ちの5種目+質問票9問 | 立っているときのバランス能力(転倒リスクを立位年齢®で表示) | 体力測定4項目(垂直跳び・握力・長座体前屈・全身反応)+肺年齢+体成分など |
| 1人あたりの時間 | 10分前後(説明と記録を含む、当社試算) | 約1分 | 項目による |
| 1日に測れる人数 | 担当者の人数しだい | 1台で連続約300人(2025年販売モデル) | 100名(スタッフ6名・7時間) |
| 必要なもの | メジャー、椅子、床テープ、ストップウォッチ、壁に貼る目盛り、補助者 | 機器1台と、立って測れる場所 | 会場のみ(機器とスタッフは委託先) |
| 費用 | 道具代のみ(担当者の工数が要る) | 1日55,000円・3日60,000円・7日70,000円 | 100名で350,000円〜 |
| 向いている規模 | 〜30人 | 50〜300人 | 100人〜、健康経営の施策にもしたい |
費用は株式会社ウエルアップの料金(税別・運搬費や交通費別、2026年10月時点)。③は機器代140,000円+スタッフ6名の費用210,000円の内訳です。①の時間は、片足立ちの打ち切り時間(開眼3分・閉眼2分。厚生労働省のセルフチェック実施マニュアル)と説明・記録の時間から当社が見積もった目安です。
①セルフチェック票を自前で行う
厚生労働省の「転倒等リスク評価セルフチェック票」は、5つの体力テストの実測値と9問の質問票を、それぞれ1〜5の5段階で採点します。費用はかかりませんが、1人ずつ5種目を測るため、人数が増えると担当者の時間が足りなくなります。ファンクショナルリーチと片足立ちは測定中に転ぶおそれがあるため、壁際で行い、すぐ支えられる位置に補助者を置きます。評価区分と読み方はセルフチェック票の使い方をご覧ください。
②機器をレンタルする
StA²BLE(ステイブル)は、専用デバイスを利き手に付けてボードに立ち、1分ほどで立っているときのふらつきを測る機器です。結果は立位年齢®として表示されるので、本人に伝わりやすいのが特徴です。年に1〜2回の実施なら購入よりレンタルが向いています。複数の拠点を回るなら7日レンタル(70,000円)が使えます。
③測定会を委託する
機器とスタッフをまとめて委託する方法です。体力のほかに体組成や肺年齢などを組み合わせられるため、健康経営優良法人の「運動機会の増進」や「高年齢従業員の健康・体力に応じた取り組み」の施策として記録に残しやすくなります。当日の流れや人手の配分は健康測定会のつくり方にまとめています。
実施の手順
- 目的と対象を決める/安全衛生委員会(50人未満なら衛生推進者など)で、何のために測るか、だれを対象にするかを決める。指針は年齢を一律に区切っていないため、全員を対象にする職場もあります
- 同意と結果の扱いを決める/体力チェックの結果は心身の状態に関する情報です。本人の同意を得ること、だれが結果を見るか、何に使い何に使わないかを、事前に決めて説明します
- 方法と日程を決める/人数と、1人にかけられる時間から方法を選ぶ。健康診断と同じ時期にすると、毎年の定点として続けやすくなります
- 当日の段取りを組む/就業時間内に、部署ごとに時間を割り振る。待ち時間を短くするため、受付・説明・測定・結果の受け渡しを分けます
- 結果を本人に返す/数値と、日常で気をつける場面を1枚にまとめて渡す。点数の低さを責める伝え方は避けます
- 職場の改善につなげる/部署ごとに傾向を見て、通路の段差・床・照明などの環境を直し、本人には運動の機会と教育を用意する
- 次回を決める/同じ方法・同じ時期で翌年も測り、変化を見る
結果の扱いで注意すること
- 人事評価には使わない/指針は、評価基準を設ける場合は職務内容に照らして合理的な水準にし、基準に満たない人には職場環境の改善と体力の維持向上で対応するよう求めています。結果だけで配置を変えたり評価を下げたりする使い方は避けてください
- 就業上の配慮が必要なとき/産業医の意見を聞き、本人と十分に話し合ってから決めます
- 部署別の集計は人数に注意/少人数の部署の平均は個人が特定されやすいため、まとめ方を工夫します
費用を抑えるには
- 健康診断と同じ日に組み込む/会場と集合の手間を一度で済ませられます
- まずは高年齢の従業員と、転倒の多い部署から/全員を一度に測らなくても、効果を確かめてから広げられます
- 補助金の対象かを確かめる/中小企業向けのエイジフレンドリー補助金には、身体機能のチェックと運動指導を組み合わせるコースがあります。年度ごとに条件が変わるため、エイジフレンドリー補助金と転倒対策で確認してください
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よくある質問
Q1. 職場の体力チェックは義務ですか?
A. 義務ではありません。2026年4月から、高年齢者の労働災害防止のための措置が事業者の努力義務になり、指針で体力チェックを継続的に行うことが望ましいとされています。罰則はありませんが、取り組むべき内容が指針に明文化されています。
Q2. 体力チェックでは何を測ればよいですか?
A. 指針は、フレイルチェックや身体機能のセルフチェックなど、事業場に合った方法を選べるとしています。厚生労働省の転倒等リスク評価セルフチェック票なら、2ステップ、座位ステッピング、ファンクショナルリーチ、閉眼・開眼片足立ちの5種目と質問票9問です。人数が多い場合は、1人約1分で測れる機器を使う方法もあります。
Q3. 100人の体力チェックにどのくらい時間がかかりますか?
A. 方法によります。セルフチェック票は説明と記録を含めて1人10分前後が目安で、担当者1人では100人に約17時間かかります。StA²BLEは1人約1分なので、100人なら測定そのものは2時間弱です。受付や結果の受け渡しの時間は別に見込んでください。
Q4. 体力チェックの費用はいくらですか?
A. セルフチェック票を自前で行えば道具代だけです。StA²BLEのレンタルは1日55,000円・3日60,000円・7日70,000円(税別、運搬費別途)、体力測定と体組成などを組み合わせた測定会の委託は100名で350,000円〜(税別、交通費別途)です。
Q5. 対象は何歳からにすればよいですか?
A. 指針は対象年齢を一律の数字で示しておらず、事業場の実情に応じて青年・壮年期から実施することが望ましいとしています。転倒のリスクには個人差があるため、全員を対象にして年齢層ごとの傾向を見る方法もあります。
Q6. 結果を配置や人事評価に使ってもよいですか?
A. 人事評価に使うことは避けてください。指針は、評価基準を設ける場合は職務内容に照らして合理的な水準にし、基準に満たない人には職場環境の改善と体力の維持向上で対応するよう求めています。就業上の配慮が必要な場合は、産業医の意見を踏まえて本人と話し合って決めます。
Q7. どのくらいの頻度で行えばよいですか?
A. 指針は継続的な実施を求めています。年に1回、同じ方法・同じ時期に行うと変化を比べやすくなります。健康診断と同じ時期に組み込むと続けやすい方法です。