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職場の安全衛生・制度2026年10年01日 更新

高年齢者の労働災害防止のための指針とは|2026年4月から努力義務になった転倒対策

この記事の結論

2026年4月1日から、高年齢者の労働災害防止のために必要な措置を講じることが、すべての事業者の努力義務になりました(改正労働安全衛生法第62条の2)。何をすればよいかは、2026年2月10日に公示された「高年齢者の労働災害防止のための指針」に示されています。措置は5つあり、そのうち「健康や体力の状況の把握」は、転倒対策の出発点になります。まずは体力チェックを1回行い、結果をもとに環境と人の両面で手を打つ流れをつくってください。

何が変わったのか

項目内容
根拠となる法律労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)による改正後の労働安全衛生法 第62条の2
施行2026年(令和8年)4月1日
事業者に求められること高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善、作業の管理その他の必要な措置を講ずるよう努めること(努力義務)
具体的な中身「高年齢者の労働災害防止のための指針」(2026年2月10日公示、同年4月1日適用。同条第2項にもとづく)
それまでの位置づけ「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン、2020年3月16日)。法律の裏づけのない行政のガイドラインだった

努力義務なので罰則はありません。ただし、法律にもとづく指針として、取り組むべき内容が明文化されたことの意味は小さくありません。労働災害が起きたとき、「指針に沿った措置をとっていたか」は必ず問われます。

なぜ今、高年齢者なのか

厚生労働省の令和7年の労働災害発生状況では、休業4日以上の死傷者135,333人のうち、転倒が37,195人で事故の型別の最多でした。全体が前年より減るなかで、転倒は2.2%増えています。転倒は年齢とともに起きやすく、起きたときの休業も長くなりがちです。働く人の高齢化が進むほど、この問題は重くなります。

指針も、転倒災害は危険に感じられない場所で発生していると指摘し、わずかな段差など周りの環境に常に注意を払うよう意識づけることを求めています。詳しくは職場の転倒災害対策で整理しています。

指針の構成と、事業者が講ずべき5つの措置

指針は「第1 趣旨」「第2 事業者が講ずべき措置」「第3 労働者と協力して取り組む事項」「第4 国、関係団体等による支援の活用」で構成されています。中心は第2の5つの措置です。

措置主な内容転倒対策での具体例
1. 安全衛生管理体制の確立等経営トップによる方針の表明、高年齢者の特性を考慮した危険源の特定等のリスクアセスメント転倒を安全衛生委員会の年間テーマにし、リスクアセスメントの対象に日常の動線を入れる
2. 職場環境の改善身体機能の低下を補う設備・装置の導入、作業管理の工夫通路を含めた照度の確保、手すりの設置、段差の解消、滑りにくい床材の採用と清掃
3. 健康や体力の状況の把握健康診断の確実な実施と、体力チェックの継続的な実施セルフチェック票や機器で体力を測り、本人と事業者の双方が客観的に把握する
4. 健康や体力の状況に応じた対応健康や体力の状況に応じた就業上の配慮(産業医の意見を踏まえ、本人と十分に話し合う)結果が低い人には作業内容や動線を見直す。全体には運動の機会をつくる
5. 安全衛生教育高年齢者の特性をふまえた安全衛生教育測定結果を使い、どんな場面で転びやすいかを本人の数字で伝える

体力チェックについて指針が求めていること

5つの措置のうち、もっとも具体的な準備が要るのが3番目の「健康や体力の状況の把握」です。指針は体力チェックについて、次のように整理しています。

つまり指針は、「測って選別する」のではなく「測って環境と本人の両方を改善する」ことを求めています。基準に満たない人を業務から外すための道具ではない、という点はとても重要です。

健康情報の取扱いにも決まりがある

体力チェックの結果は、労働者の心身の状態に関する情報です。指針は、健康情報等の適正な取扱いに関する指針に沿うこと、本人の同意を得ること、安全衛生委員会等で取扱いの手続きを決めておくこと、個人が特定されないよう情報を加工・集約すること、不利益な取扱いにつながらないよう配慮することを求めています。

実務では、実施前に次の3点を社員へ明示しておくと、参加率も上がります。

  1. 結果は本人に返し、人前で読み上げない
  2. 人事評価や配置の判断には使わない
  3. 会社が見るのは集計した結果と、本人が同意した範囲の情報だけ

まず何から始めるか|4つのステップ

  1. 方針を決める/安全衛生委員会で「今年度は転倒を減らす」と決め、担当者を置く(措置1)
  2. 1回測る/体力チェックで現状を数字にする。最初はレンタルや測定会で十分(措置3)
  3. 両面で手を打つ/結果が低い職場は通路・照明・段差を直し、本人には運動の機会と教育を用意する(措置2・4・5)
  4. 同じ方法で測り直す/半年〜1年後に再測定し、委員会に報告する

措置2の「職場環境の改善」にあたる床の補修、遮熱、搬送の自動化などの設備面は、グループのフジテックスが扱っています。工場・倉庫の場合は設備メンテナンスや物流倉庫の省人化もあわせてご覧ください。

年間の回し方は転倒対策をPDCAにする進め方、費用面の支援はエイジフレンドリー補助金(指針の第4「国、関係団体等による支援の活用」にあたります)をご覧ください。

体力チェックの方法をどう選ぶか

方法向いている場面注意点
転倒等リスク評価セルフチェック票(厚生労働省)少人数で、まず無料で始めたい場所・補助者・時間が要る。片足立ちなどは測定中に転ぶおそれがある
フレイルチェック等の質問票全員の状態を広く把握したい自己申告なので、本人の思い込みが入る
機器による測定(StA²BLE など)人数が多い、毎年同じ条件で比べたい機器の手配が要る(レンタル・購入)

立位年齢®検査装置 StA²BLE(ステイブル)は、目を閉じて立っているだけの約1分の測定で、身体機能と感覚機能の両面から転倒リスクを評価し、結果を「立位年齢®」で返します。1台で連続約300人に対応し(2025年販売モデル)、測定中に転ぶ危険がないため、バランスに不安がある人ほど安全に測れます。

よくある質問

Q1. 高年齢者の労働災害防止のための指針とは何ですか?

A. 改正労働安全衛生法第62条の2第2項にもとづき、厚生労働省が2026年2月10日に公示し、同年4月1日から適用されている指針です。高年齢者の労働災害を防ぐために事業者が講ずべき措置として、安全衛生管理体制の確立等、職場環境の改善、健康や体力の状況の把握、健康や体力の状況に応じた対応、安全衛生教育の5つを示しています。

Q2. 2026年4月から何が義務になったのですか?

A. 高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善、作業の管理その他の必要な措置を講ずることが、事業者の努力義務になりました(労働安全衛生法第62条の2)。努力義務のため罰則はありませんが、具体的に何をすべきかが法律にもとづく指針で示されています。

Q3. エイジフレンドリーガイドラインとは何が違うのですか?

A. 2020年3月16日のエイジフレンドリーガイドラインは、法律の裏づけのない行政のガイドラインでした。2026年4月からは、改正労働安全衛生法にもとづく努力義務と、それを具体化した指針という形に位置づけが変わっています。5つの措置という骨格は共通です。

Q4. 体力チェックは必ず実施しなければいけませんか?

A. 指針は、体力チェックを継続的に実施することが望ましいとしています。方法はフレイルチェックや身体機能のセルフチェックなど、事業場の働き方に合わせて選べます。評価基準を設ける場合は職務内容に照らして合理的な水準とし、基準に満たない人には職場環境の改善と体力の維持向上に取り組むことが求められます。

Q5. 体力チェックの結果を配置や人事評価に使ってもよいですか?

A. 指針は、健康情報等の適正な取扱い、本人の同意、不利益な取扱いの防止への配慮を求めています。結果は本人の気づきと職場環境の改善のために使い、人事評価に使わないことを実施前に明示しておくことをおすすめします。

Q6. 何歳以上が対象ですか?

A. 指針の本文は対象年齢を一律の数字では示していません。体力チェックについては、事業場の実情に応じて青年・壮年期から実施することが望ましいとしています。転倒リスクは個人差が大きいため、年齢で区切らず全員を測り、その中で注意が必要な人を見つける方法が実務的です。

Q7. 中小企業はどこから手をつければよいですか?

A. まず安全衛生委員会(または衛生推進者)で転倒対策をテーマに決め、体力チェックを1回行うところから始めてください。機器を買う必要はなく、レンタルや測定会で十分です。環境改善の費用には、エイジフレンドリー補助金の活用も検討できます。

Q8. StA²BLEで測定会を開く前に、実機を確認できますか?

A. 導入前に体験・デモ・ショールームでの確認をご希望の場合は、株式会社ウエルアップまでご相談ください。約1分の測定の流れ、立位年齢®のレポート、測定会での動線を実機でご確認いただけます。デモのご相談はこちらからお問い合わせください。

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