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転倒予防2026年10年14日 更新

歩きスマホ・ながら歩きの転倒リスク|職場で起きる事故と、ルールの決め方

この記事の結論

歩きスマホは、転倒の入り口になります。東京消防庁の管内では、歩きスマホなどに関わる事故で令和3年〜7年の5年間に171人が救急搬送され、事故の種類は「ころぶ」が71人で4割以上を占めました。職場の転倒も74%が移動中に起きています。対策は「禁止」の掲示だけでは進みません。階段・通路・構内道路ではスマホを見ないと決め、立ち止まって操作できる場所を用意することが、守られるルールにするコツです。

1搬送の4割以上が「ころぶ」東京消防庁管内で5年間171人
2職場の転倒の74%は移動中通路・階段の「ながら歩き」が入り口になる
3禁止だけでは守られない立ち止まる場所を用意する

数字で見る「ながら歩き」の事故

東京消防庁は、歩きながらや自転車に乗りながらスマートフォンなどを使って起きた事故の救急搬送人員を公表しています。

項目内容
期間・地域令和3年〜令和7年の5年間、東京消防庁の管内(令和7年は速報値)
救急搬送人員171人(うち令和7年は43人)
事故の種類ころぶ 71人、落ちる 47人、ぶつかる 46人
年代20歳代が31人で最多。20歳代〜70歳代で多い
程度約8割は軽症。入院が必要な中等症以上は36人

出典:東京消防庁「歩きスマホ等に係る事故に注意」(2026年3月3日更新)。救急搬送された人数のみで、搬送に至らなかった事故は含まれません。

4割以上
歩きスマホなどの事故で救急搬送された人のうち、4割以上が「ころぶ」事故でした。「落ちる(階段・ホームなど)」「ぶつかる」がそれに続きます。 東京消防庁管内、令和3年〜7年の5年間で171人。うち「ころぶ」71人

若い世代が多いのが特徴で、「高齢者の転倒」とは違う層にも起きる事故です。そして職場の転倒全体で見ても、厚生労働省の分析では転倒の74%は作業中ではなく移動中に起きています。通路・階段・構内道路での「ながら歩き」は、まさにこの移動中の転倒の入り口です。

移動中の割合の出典:厚生労働省 岩手労働局「転倒災害防止」資料(令和3年の休業4日以上の転倒災害を分析)。

歩きスマホが職場で危ない理由

理由職場で起きること
足元を見ていない小さな段差、マットのめくれ、通路の配線、置かれた荷物に気づかない
前を見ていない人・台車・フォークリフトとぶつかる。出会い頭の接触
片手がふさがる階段で手すりを持たない。つまずいたときに手をつけない
足の運びがおろそかになる歩くことへの注意が減り、段差の手前で足を上げ忘れる
注意が画面に向く呼びかけ・警報音・接近する車両に気づくのが遅れる

とくに危ないのが階段です。片手がスマホでふさがり、手すりを持たず、足元も見ていない。つまずいたときに体を支えるものが何もない状態になります。東京消防庁のデータでも「落ちる」が47人と、2番目に多い事故の種類でした。

職場で決めておきたいルールの例

「歩きスマホ禁止」とだけ掲示しても、なかなか守られません。どこで禁止なのか、どこならよいのかを具体的に決めるのがポイントです。

場所ルールの例
階段スマホ・タブレットを見ない。必ず手すりを持つ
構内道路・駐車場歩きながら操作しない。車両の通行区域ではポケット・カバンにしまう
倉庫・作業場の通路台車・フォークリフトの動線では端末を見ない
オフィスの通路画面を見ながら歩かない。通話はかまわないが、立ち止まって
業務用端末(ハンディ・タブレット)入力・確認は立ち止まって行う。歩きながらの入力を前提にした作業手順を見直す

守られるルールにするコツ

そのまま使える周知の文例

掲示や朝礼でそのまま使える文例です。職場の実情に合わせて場所の名前を書き換えてください。

階段・通路の掲示

場所掲示の文例
階段の上り口・下り口「階段ではスマホをしまい、手すりを持ちましょう」
通路の確認スペース「スマホ・端末の確認はここで。立ち止まって見ましょう」
構内道路・駐車場の入口「車両通行区域です。歩きながらの操作はやめましょう」
倉庫の通路「フォークリフト通路。端末を見ながら歩かない」

掲示は目線の高さより、立ち止まってほしい場所の足元や手すりの近くに置くほうが目に入ります。

朝礼・安全衛生委員会で話す例

「職場の転倒は、作業中より移動中のほうがずっと多く起きています。厚生労働省の分析では、転倒の74%が移動中です。階段で手すりを持たずにスマホを見ていて足を踏み外すと、骨折して1か月以上休むことも珍しくありません。今月から、階段と構内道路ではスマホを見ないこと、確認は通路脇の確認スペースで立ち止まって行うことにします。」

数字と、なぜその場所なのかをセットで伝えると、「また禁止が増えた」と受け取られにくくなります。

導入後に見ること

時期確認すること
1か月後階段・通路で歩きながら画面を見ている人がいないか、数日見て回る
3か月後「ながら歩き」に関わるヒヤリ・ハットの件数と場所
半年後確認スペースが使われているか。使われていなければ場所を見直す
1年後移動中の転倒・ヒヤリ・ハットを前年と比べる

体力の衰えと重なると、さらに危ない

歩きスマホの事故は若い世代に多い一方で、バランス能力や足腰の力が落ちている人がながら歩きをすると、つまずいたときに立て直せず、転倒やケガにつながりやすくなります。本人は「まだ大丈夫」と思っていることが多く、立ち止まるルールを「自分には関係ない」と受け取りがちです。

立っているときのふらつきを数値にして本人に返すと、「自分のこと」として受け取りやすくなります。立位バランスの測り方は立位バランス測定でわかること、職場での体力チェックの進め方は職場の体力チェックの進め方にまとめています。

ここで紹介する測定機器は、転倒を予測・診断するものではありません。結果は運動や環境を見直すきっかけとして使ってください。

職場の転倒全体の対策は職場の転倒予防、足元の環境の点検は段差でつまずく原因と対策をご覧ください。

よくある質問

Q1. 歩きスマホでどのくらい事故が起きていますか?

A. 東京消防庁の管内では、歩きスマホなどに関わる事故で、令和3年〜7年の5年間に171人が救急搬送されています(令和7年は速報値)。事故の種類は「ころぶ」が71人で最も多く4割以上を占め、「落ちる」47人、「ぶつかる」46人と続きます。

Q2. 歩きスマホが危ないのはなぜですか?

A. 足元と前を見ていないため、小さな段差や置かれた荷物、人や台車に気づかないからです。片手がふさがって階段で手すりを持たず、つまずいたときに手もつけません。注意が画面に向くので、呼びかけや接近する車両に気づくのも遅れます。

Q3. 職場ではどんなルールを決めればよいですか?

A. 場所ごとに決めるのが効果的です。階段ではスマホを見ずに手すりを持つ、構内道路や駐車場では歩きながら操作しない、倉庫の通路では台車・フォークリフトの動線で端末を見ない、業務用端末の入力は立ち止まって行う、といった例があります。

Q4. 「歩きスマホ禁止」の掲示だけでは足りませんか?

A. 足りないことが多いです。立ち止まって操作できる場所を用意する、歩きながらでないと間に合わない業務手順を見直す、転倒すると休業が長引く(転倒災害の休業は平均47日)という理由を伝える、管理職から守る、といった工夫を組み合わせてください。

Q5. 業務でタブレットやハンディ端末を使う場合はどうすればよいですか?

A. 入力や確認は立ち止まって行う手順にします。歩きながらの入力を前提にした作業になっている場合は、確認する場所や時間を作業手順に組み込み、個人の注意に頼らない形に変えてください。

Q6. 歩きスマホの対策と体力チェックは関係がありますか?

A. 関係があります。バランス能力や足腰の力が落ちている人がながら歩きをすると、つまずいたときに立て直せず、転倒やケガにつながりやすくなります。体力チェックや立位バランスの測定で状態を数値にすると、ルールを自分のこととして受け取るきっかけになります。

Q7. 転倒予防の測定会について相談できますか?

A. できます。立位年齢を測る StA²BLE は1日55,000円(税別、2026年10月時点)からレンタルでき、測定は1人約1分です。安全衛生の取り組みと組み合わせた測定会の進め方もご提案します。お問い合わせフォームからご連絡ください。

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