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転倒予防2026年09年18日 更新

職場の転倒予防|労働災害で最も多い型と、実行できる対策

この記事の結論

転倒は、労働災害の事故の型のなかで最も多い型です。厚生労働省の公表では、令和6年の休業4日以上の死傷者135,718人のうち、転倒が36,378人。全体の約4分の1を占めています。対策は「気をつける」では進みません。環境を直すことと、本人が自分の状態に気づくこと。この2つを同時に動かしてください。

1労働災害で最も多い型令和6年は36,378人。全体の約26.8%
2「気をつける」では進まない環境を直すことと、本人が気づくこと
3数値が思い込みを揺さぶる「自分は大丈夫」と思っている人ほど対策が進みません

数字で見る職場の転倒

厚生労働省が公表した令和6年の労働災害発生状況では、次のようになっています。

順位事故の型死傷者数(休業4日以上)
1位転倒36,378人(前年比 320人・0.9%増)
2位動作の反動・無理な動作22,218人(前年比 165人・0.7%増)
3位墜落・転落20,699人(前年比 59人・0.3%減)
―全体135,718人(前年比 347人増、4年連続で増加)
転倒36,378人動作の反動・無理な動作22,218人墜落・転落20,699人
令和6年/休業4日以上の死傷者数を事故の型別に見たもの。転倒が最も多く、全体135,718人の約26.8%を占めます。出典:厚生労働省「令和6年の労働災害発生状況」

出典:厚生労働省「令和6年の労働災害発生状況」。数値は同資料の公表値です。最新の状況は厚生労働省の公表をご確認ください。

転倒だけで全体の約26.8%を占めます。高所からの墜落や機械へのはさまれといった、いかにも危険に見える災害よりも多い。しかも件数は増え続けています。

年齢との関係も見逃せません。同資料では60歳代以上の死傷年千人率は4.00とされており、高年齢の従業員への対応が課題として挙げられています。人手不足で就業年齢が上がっている職場では、この比重はさらに大きくなります。

26.8%
労働災害の約4分の1が「転倒」です。高所からの墜落や機械へのはさまれよりも多く、件数は増え続けています。 令和6年/休業4日以上の死傷者135,718人のうち転倒36,378人。厚生労働省「令和6年の労働災害発生状況」

なぜ転倒対策は進まないのか

数字を見れば最優先の課題のはずですが、実際には後回しになりがちです。理由ははっきりしています。

言われること実際には
「気をつければ防げる」気をつけていても転ぶ。だから事故になっている
「うちは危険な作業がない」転倒は事務所・厨房・店舗でも起きる
「高齢者の問題」50代・60代の従業員が多い職場ほど自社の問題
「大きなケガにならない」骨折すれば休業は数か月に及ぶ
「自分は大丈夫」転ばずに済んでいる人ほどそう思っている

最後の行が、対策の本当の壁です。本人が「自分には関係ない」と思っている限り、何を配っても読まれません。

対策1:環境を直す

本人の意識に頼らず、確実に効くのはこちらです。まず現場を見てください。

場所見るところ直し方
床濡れ、油、たわみ、めくれたマット滑り止め、こまめな拭き取り、マットの固定
段差数センチの段差ほど危ないスロープ、色を変えて視認させる
配線通路を横切るコード床用モール、配線経路の変更
照明暗い通路、階段、倉庫照度を上げる。人感センサー
通路置きっぱなしの荷物、台車置き場を決める。線を引く
階段手すりの有無、段鼻の視認性手すりの設置、段鼻にテープ
靴すり減った靴底、サイズの合わない靴作業靴の基準を決める。交換の目安を示す

とくに「数センチの段差」と「靴」は見落とされます。大きな段差は誰でも注意しますが、2〜3センチの段差は視界に入りません。靴も、本人は履き慣れているぶん、靴底がすり減っていることに気づきません。

ヒヤリ・ハットを集める

「転びそうになった」は、災害になっていないので報告されません。意識して集めないと見えないまま残ります。

対策2:本人が自分の状態に気づく

環境を直しても、バランス能力そのものが落ちていれば転びます。そしてバランス能力の低下には自覚がありません。

ここで効くのが、状態を数値にして本人に返すことです。

測定項目示すもの1人あたり
立位バランス転びやすさ/立位年齢®として実年齢と比べられる約3分
骨健康度折れやすさ/転んだときの被害の大きさ約1〜2分
体組成脚の筋肉量、左右差約2〜3分

なぜ数値が効くのか

呼びかけ受け取られ方
段差に気をつけてください「自分は大丈夫」
手すりを使ってください「まだそんな歳じゃない」
運動しましょう「そのうちやる」
立位年齢が実年齢より12歳上です「え、そうなの?」

「自分は大丈夫」という思い込みを揺さぶれるのが、数値の役割です。安全衛生の掲示物を増やすより、一度測ってもらうほうが早いことがあります。

骨とバランスは組み合わせで意味が出る

骨だけ測ると「骨を強くしましょう」で終わります。バランスを足すと話が変わります。骨が弱くても転ばなければ折れません。逆にバランスが落ちていても骨が強ければ被害は小さく済みます。この2つが揃うと「転ばない体をつくる」という具体的な目標になります。

恐怖をあおらない

転倒の話は、扱い方を間違えるとすぐ恐怖に転びます。

×○
あなたは転びやすい状態です今回はこういう結果でした
このままだと危険ですここは伸びしろがありますね
骨がもろくなっています気になるようでしたら医療機関でも詳しく調べられます
無理をしないでください3か月後にまた測ってみましょう

「危険です」と伝えると、動くのをやめる人が出ます。動かなくなれば筋力もバランスも落ち、かえって転びやすくなります。狙いは活動を増やすことであって、怖がらせることではありません。

ここで扱う測定機器は、将来の転倒を予測したり、骨粗しょう症を診断したりするものではありません。結果は運動や環境を見直すきっかけとして使ってください。体調に不安がある場合は医療機関にご相談ください。

年間の進め方の例

時期やること
1〜2月目現場を歩いて、床・段差・配線・照明・通路を洗い出す
1〜2月目ヒヤリ・ハットの報告様式を作り、集め始める
3月目測定会を実施(立位バランス+骨健康度)。レンタルで可
4月目〜優先度の高い環境の改善に着手する
6月目ヒヤリ・ハットが集中している場所を地図で確認
6月目2回目の測定(立位バランスは3か月以上あける)
12月目転倒災害・ヒヤリ・ハットの件数を前年と比べる

測定はレンタルで十分です。立位年齢測定器 StA²BLE が1日55,000円、骨健康度測定器 骨ウエーブが1日45,000円、超音波骨密度測定装置 CM-200 が1日60,000円です(2026年9月時点)。年に2回なら購入する必要はありません。

よくある質問

Q1. 職場の労働災害で転倒はどのくらい多いのですか?

A. 厚生労働省が公表した令和6年の労働災害発生状況では、休業4日以上の死傷者135,718人のうち転倒が36,378人で、事故の型別で最も多くなっています。全体の約26.8%にあたり、2位の「動作の反動・無理な動作」22,218人、3位の「墜落・転落」20,699人を上回ります。

Q2. 事務所や店舗でも対策は必要ですか?

A. 必要です。転倒は高所作業や機械のある現場に限らず、事務所、厨房、店舗、倉庫でも起きています。濡れた床、数センチの段差、通路を横切る配線、暗い階段が主な原因です。

Q3. 「気をつける」だけでは足りませんか?

A. 足りません。気をつけていても転ぶから事故になっています。環境を直すこと(床・段差・配線・照明・靴)と、本人が自分のバランス能力に気づくこと。この2つを同時に進めてください。

Q4. なぜ測定が対策になるのですか?

A. バランス能力の低下には自覚がないためです。「自分は大丈夫」と思っている人ほど対策が進みません。立位年齢として実年齢と比べられる数値が出ると、その思い込みが揺らぎ、行動を変えるきっかけになります。

Q5. 骨健康度も一緒に測る意味はありますか?

A. あります。立位バランスは「転びやすさ」、骨健康度は「折れやすさ」を示します。骨が弱くても転ばなければ折れず、バランスが落ちていても骨が強ければ被害は小さく済みます。2つ揃うと「転ばない体をつくる」という具体的な目標になります。

Q6. 結果が悪かった人にはどう伝えればよいですか?

A. 「危険です」「転びやすい状態です」とは伝えないでください。動くのをやめる人が出て、かえって筋力とバランスが落ちます。「今回はこういう結果でした」「ここは伸びしろがあります」「3か月後にまた測りましょう」という言葉に置き換えてください。

Q7. 測定会のレンタルや相談はできますか?

A. できます。立位年齢測定器 StA²BLE が1日55,000円、骨健康度測定器 骨ウエーブが1日45,000円からのレンタルに対応しています。従業員数と会場をお知らせいただければ、台数と当日の進め方までご提案します。お問い合わせフォームからご連絡ください。

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