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転倒予防2026年10年14日 更新

立ちくらみと転倒|起きやすい場面・原因と、職場でできる対策

この記事の結論

立ちくらみは、転倒のきっかけになります。立ち上がった直後に血圧が下がると脳への血流が一時的に減り、ふらついて倒れることがあります。立ち上がって3分以内に血圧が大きく下がる「起立性低血圧」は高齢者の約15〜20%にみられ、脱水・薬・食後・暑さでも起きやすくなります。職場では急に立ち上がらない、水分をとる、立ちくらみが続く人には受診をすすめることが基本です。熱中症の初期症状にも「めまい・立ちくらみ」が含まれるため、夏場はとくに注意してください。

1立ちくらみは転倒のきっかけ立ち上がった直後に血圧が下がると、ふらついて倒れる
2高齢者の約15〜20%起立性低血圧は年齢とともに増える
3暑さ・脱水・食後も要注意熱中症の初期症状にも「めまい・立ちくらみ」

立ちくらみで転ぶしくみ

座った姿勢や寝た姿勢から急に立ち上がると、重力で血液が下半身にたまり、一時的に脳へ届く血液が減ります。ふつうは体がすぐに血圧を調整しますが、その調整が間に合わないと、目の前が暗くなる、ふわっとする、といった立ちくらみが起きます。

このとき、足元がふらついたり、ひざの力が抜けたりして転倒することがあります。立ち上がった直後の数歩、階段の手前、荷物を持ち上げた直後などが危ない瞬間です。

起立性低血圧とは

立ち上がったときに血圧が大きく下がる状態を、起立性低血圧といいます。医学的には、立ち上がってから3分以内に、収縮期血圧(上の血圧)が20mmHg以上、または拡張期血圧(下の血圧)が10mmHg以上下がる場合とされています。

項目内容
判断の目安立ち上がって3分以内に、上の血圧が20mmHg以上、または下の血圧が10mmHg以上下がる
多い人高齢者の約15〜20%。高血圧のある人や、長期療養施設の入所者でさらに多い
主なきっかけ脱水、薬(降圧薬・利尿薬など)、長く寝ていたあと、加齢による血圧調整の変化
転倒との関係多くの転倒は、診断されていない起立性低血圧が原因である可能性があるとされる

出典:MSDマニュアル プロフェッショナル版「起立性低血圧」。診断は医師が行います。この記事は職場での対策を考えるための一般的な情報です。

15〜20%
起立性低血圧は、高齢者の約15〜20%にみられます。年齢とともに血圧の調整が遅くなり、立ち上がった直後のふらつきが起きやすくなります。 MSDマニュアル プロフェッショナル版「起立性低血圧」

職場で立ちくらみが起きやすい場面

場面なぜ起きやすいか職場での工夫
長時間座ったあとに立ち上がる下半身に血液がたまっている立つ前に足首を動かす。いったん座面の端に浅く座ってから立つ
しゃがみ作業・床置きの荷物しゃがんだ姿勢から一気に立つ荷物を台の上に置く。立つときに何かにつかまる
暑い場所・夏場の作業汗で体の水分が減る。血管が広がるこまめな水分補給と休憩。涼しい休憩場所
昼食後食後は消化のために内臓に血液が集まる食後すぐに重い作業・階段の上り下りを入れない
朝の始業直後寝起きは血圧の調整が整っていない始業直後に高所・階段の作業を入れない
入浴設備・シャワー室のある職場温まって血管が広がった状態で立つ脱衣所に椅子と手すり

食後に血圧が下がる「食後低血圧」は、高齢者や高血圧の人に多いとされています。昼休み明けの作業の段取りを少し変えるだけでも、ふらつきやすい時間帯を避けられます。

食後低血圧の記述の出典:公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」低血圧。

熱中症の「立ちくらみ」を見逃さない

夏場の立ちくらみは、熱中症の始まりのこともあります。厚生労働省の示す熱中症の重症度分類では、いちばん軽いI度に「めまい・失神」が含まれ、立ちくらみはこの段階の代表的な症状です。

重症度主な症状
I度めまい・失神(立ちくらみ)、筋肉痛・筋肉の硬直(こむら返り)、大量の発汗
II度頭痛、気分の不快、吐き気・嘔吐、倦怠感・虚脱感
III度意識障害、けいれん、手足の運動障害、高体温

出典:厚生労働省 岩手労働局「職場における熱中症予防対策」。

2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則では、暑さ指数(WBGT)28度以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超えて行う見込みの作業について、熱中症の疑いがある人を見つけた人が報告できる体制と、悪化を防ぐ措置の手順を決めて周知することが事業者に義務付けられています。暑い時期に「立ちくらみがした」という申し出があったら、その場で作業を止めて涼しい場所で休ませ、水分をとらせる。この流れを現場の手順に入れておいてください。

出典:目黒区「職場における熱中症対策が義務化されました」(令和7年6月1日施行の改正労働安全衛生規則の解説)。

職場でできる対策

1. 立ち上がり方を教える

単純ですが、「立ちくらみがしたらしゃがむ」と知っているだけで、立ったまま倒れるより被害は小さくなります。朝礼や安全衛生教育で一度伝えておく価値があります。

2. 水分と休憩の取り方を決める

脱水は立ちくらみの大きなきっかけです。とくに夏場は、のどが渇く前に飲める環境(休憩場所の給水、作業場への持ち込みの許可)と、休憩の時間を決めておきます。

3. 立ちくらみが起きやすい場所の環境を直す

4. 申し出やすくする

立ちくらみは本人しかわかりません。「立ちくらみがした」「ふらついた」を、ヒヤリ・ハットとして気軽に報告できる職場にしておくことが、いちばんの早期発見になります。

血圧を測る意味

起立性低血圧かどうかは、座った(または寝た)状態と、立ち上がったあとの血圧を比べて判断されます。転倒したあとに医療機関で血圧を測るのは、転倒のきっかけに血圧の低下がなかったかを確かめるためでもあります。判断は医師が行いますが、ふだんの自分の血圧を知っておくことは、受診したときの手がかりになります。

職場に血圧計を置いておくと、「なんとなくふらつく」日に自分で測る習慣がつきます。常設の血圧計をどう活かすかは、血圧測定でわかることで詳しく解説しています。

血圧計や立位バランスの測定は、病気の診断をするものではありません。立ちくらみやふらつきが続く場合は、自己判断せず医療機関に相談するよう伝えてください。

受診をすすめる目安

次のような場合は、職場で様子を見るのではなく、医療機関への相談をすすめてください。

職場全体の転倒対策と、つまずきの原因については、職場の転倒予防と段差でつまずく原因と対策もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q1. 立ちくらみで転倒するのはなぜですか?

A. 立ち上がった直後に血圧が下がり、脳へ届く血液が一時的に減るためです。目の前が暗くなったり、ふわっとしたりして、足元がふらついたり、ひざの力が抜けたりして転ぶことがあります。立ち上がった直後の数歩や階段の手前が危ない場面です。

Q2. 起立性低血圧とは何ですか?

A. 立ち上がったときに血圧が大きく下がる状態です。MSDマニュアルでは、立ち上がってから3分以内に、上の血圧(収縮期血圧)が20mmHg以上、または下の血圧(拡張期血圧)が10mmHg以上下がる場合とされ、高齢者の約15〜20%にみられます。判断は医師が行います。

Q3. 立ちくらみが起きやすいのはどんなときですか?

A. 長く座っていたあとや、しゃがんだ姿勢から急に立ち上がったとき、暑い場所で汗をかいたあと、昼食後、朝の起きてすぐの時間帯などです。脱水や、降圧薬・利尿薬などの薬も立ちくらみのきっかけになることがあります。

Q4. 立ちくらみは熱中症のサインですか?

A. 夏場や暑い場所での立ちくらみは、熱中症の始まりのことがあります。厚生労働省の熱中症の重症度分類では、最も軽いI度に「めまい・失神」が含まれます。作業を止めて涼しい場所で休ませ、水分をとらせてください。頭痛や吐き気、意識の異常がある場合は医療機関への搬送が必要です。

Q5. 転倒したあとに血圧を測るのはなぜですか?

A. 転倒のきっかけに血圧の低下がなかったかを確かめるためです。起立性低血圧かどうかは、座った(または寝た)状態と立ち上がったあとの血圧を比べて判断されます。判断は医師が行いますが、ふだんの血圧を知っておくと受診したときの手がかりになります。

Q6. 職場でできる立ちくらみ対策は何ですか?

A. 急に立ち上がらない立ち方を教える、立ちくらみがしたらその場でしゃがむよう伝える、水分補給と休憩のルールを決める、しゃがみ作業の場所や階段に手すりを付ける、立ちくらみをヒヤリ・ハットとして報告しやすくする、の5つが基本です。

Q7. 職場に血圧計を置いたり、測定会を開いたりできますか?

A. できます。ウエルアップでは血圧計のほか、立位年齢を測る StA²BLE(1日55,000円から・税別、2026年10月時点)など、転倒予防に使える測定機器をレンタル・販売しています。職場の人数と目的をお知らせいただければ、組み合わせをご提案します。お問い合わせフォームからご連絡ください。

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