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安全衛生2026年10年14日 更新

工場・倉庫の熱中症対策|義務化でやること・WBGT・設備と人の両面

この記事の結論

工場・倉庫の熱中症対策で事業者がまずやることは、2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則にもとづき、熱中症の疑いを報告できる体制と、重篤化を防ぐ手順を決めて、作業者に周知することです。そのうえで作業場所のWBGT(暑さ指数)を実測し、遮熱・空調・休憩所などの作業環境と、作業前の体調確認・水分塩分・暑熱順化などの健康管理を両方そろえます。準備は4月から、ピークは7〜8月です。設備はフジテックスのメンテナンス事業、働く人の健康チェックと啓発は株式会社ウエルアップに、同じ窓口で相談できます。

工場・倉庫の熱中症対策でやることの全体像

やること中身誰がやるか
体制と手順の整備・周知(義務)報告先、連絡網、搬送先、作業離脱・身体冷却の手順を決めて知らせる社内の安全衛生担当
WBGTの実測JIS規格に適合したWBGT指数計で、作業場所ごとに測る社内(指数計を用意)
作業環境屋根・壁の遮熱、空調の洗浄・保守・入替、搬入口の区分け、休憩所フジテックス メンテナンス事業
健康管理作業前の体調確認、水分・塩分、暑熱順化、持病のある人への配慮社内+株式会社ウエルアップ

2025年の職場の熱中症死傷者は1,803人で過去最多

厚生労働省の確定値では、2025年の職場の熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は1,803人で、前年の1,257人から約43%増え、2005年の統計開始以来最多です。死亡者は19人で前年の31人から減り、厚生労働省は規則改正による体制整備と手順作成が死亡の防止にある程度役立ったとみています。

業種(2025年)死傷者数(うち死亡)
製造業365人(2人)
建設業292人(5人)
商業237人(2人)
運送業220人(1人)
警備業199人(3人)
清掃・と畜業121人(1人)
そのほか(農業・林業を含む)369人(5人)
合計1,803人(19人)

死傷者がいちばん多い業種は製造業で、屋外作業だけの問題ではありません。2025年は死傷者の約72%が7月か8月に発生し、死傷者の約52%が50歳代以上でした。死亡19件のうち、熱中症予防の教育が確認できなかった事例が9件、糖尿病や高血圧症など発症に影響しうる疾病・所見がある事例が9件です。作業終了後や帰宅後に悪化した事例も含まれます。

出典:厚生労働省「令和7年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」(2026年5月27日公表、出典は労働者死傷病報告)。

2025年6月1日から義務になったこと

改正労働安全衛生規則(第612条の2)は、熱中症の重篤化による死亡を防ぐため、暑い場所で一定時間以上の作業がある事業者に、次の3つを義務づけています。

項目内容
対象となる作業WBGT28度以上または気温31度以上の場所で、連続1時間以上または1日4時間を超えて行うことが見込まれる作業。屋内・屋外を問わない。臨時の作業も条件を満たせば対象
1. 報告体制の整備熱中症の自覚症状がある作業者や、そうした作業者を見つけた人が報告できる体制をつくる
2. 手順の作成緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先と所在地、作業離脱・身体冷却・医療機関への搬送など重篤化を防ぐための実施手順を決める
3. 関係者への周知体制と手順を関係作業者に知らせる。掲示、メール、文書配布、朝礼での伝達など。朝礼に出ない人がいる場合は複数の手段を組み合わせる

対象かどうかは、原則として作業場所でWBGTまたは気温を実測して判断します。予報値を使ってよいのは通風のよい屋外作業で、熱がこもる工場や倉庫は実測が前提です。

報告体制の例は、責任者の巡視、2人以上で互いの様子を見るバディ制、ウェアラブルデバイス、双方向の定期連絡です。返事がおかしい、ぼーっとしているなど、普段と様子が違うことも「異常」として扱います。

出典:厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」(基発0520第6号、令和7年5月20日)、大阪労働局リーフレット「職場における熱中症対策の強化について」。

異常に気づいたときの流れ(厚生労働省の手順例)

  1. 作業から離し、涼しい場所へ移して身体を冷やす
  2. 意識の異常(返事がおかしい、ぼーっとしているを含む)があれば、救急隊を要請する
  3. 自分で水分・塩分をとれるか確かめる。とれない、回復しない、悪化する場合は救急隊を要請し医療機関へ
  4. 搬送中や経過観察の間は一人にしない。回復しても急に悪くなることがある
  5. 救急車を呼ぶか迷うときは、#7119などの相談窓口を使う。本人が「大丈夫」と言っても放置しない

この流れは厚生労働省の手順例に沿った一般的な流れです。症状の判断や処置は救急隊・医療機関に従ってください。

WBGT(暑さ指数)の測り方と、作業ごとの基準値

WBGTは、気温だけでなく湿度と日射・輻射熱を取り入れた指標です。単位は℃ですが、気温とは別の値です。

湿度を表す湿球温度の重みが0.7と最も大きく、気温(乾球温度)は屋外でも0.1です。気温がそれほど高くなくても、蒸し暑い倉庫や炉のそばではWBGTが高くなります。環境省の資料では、日最高WBGTが28(北海道は26)を超えるあたりから熱中症の搬送人員が急に増えるとされています。

WBGT日常生活の指針
31以上危険
28〜31厳重警戒
25〜28警戒
21〜25注意

出典:環境省 熱中症予防情報サイト掲載資料「夏季の暑熱環境と熱中症発生リスク」(日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針Ver.3」2013年を引用)。熱中症警戒アラートは、日最高WBGTが33(予測値)に達する場合に発表されます(環境省 熱中症予防情報サイト)。

職場では、作業の強さと暑さへの慣れで基準値が変わります。同じWBGTでも、重い物を運ぶ人や暑さに慣れていない人のほうが先に基準を超えます。

作業の強さ作業の例暑さに慣れた人慣れていない人
安静安静、楽な座位3332
低い軽い手作業、立って行うドリル作業、時速2.5km以下の歩行3029
中程度釘打ち、除草、時速2.5〜5.5kmの歩行2826
高い重量物の運搬、ショベル作業、時速5.5〜7kmの歩行2623
非常に高い最大速度の活動、階段の昇り降り、時速7km以上の歩行2520

測るときのポイントは3つです。

出典:厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」(令和8年3月策定)。基準値の単位は℃(WBGT)。服装によっては補正が必要です。

作業環境:建物と設備でWBGTを下げる

ガイドラインは、遮へい物、簡易な屋根、通風・冷房設備などでWBGTを下げること、冷房や日陰があり足を伸ばして横になれる広さの休憩場所を設けることを挙げています。工場・倉庫で建物側に手を入れる場合、フジテックスのメンテナンス事業で次の工事を相談できます。

どれも現地調査で建物と設備の状態を確認してから提案します。効果の出方は建物の構造や条件で変わります。設備で下げられる暑さには限りがあるため、次の健康管理と組み合わせることが前提です。詳しくは工場・倉庫の設備メンテナンスをご覧ください。

健康管理:作業前の確認・水分塩分・暑熱順化

項目ガイドラインの内容
作業前の体調確認朝食の未摂取、睡眠不足、前日の多量の飲酒、体調不良の有無を確認する
作業中の確認水分・塩分の摂取状況、尿の回数や色などを巡視で確認する。尿が少ない・色が濃いときは水分不足の可能性
水分・塩分自覚症状がなくても、作業前後と作業中に定期的にとる。0.1〜0.2%の食塩水、ナトリウム40〜80mg/100mlのスポーツドリンク等を20〜30分ごとにカップ1〜2杯程度
暑熱順化7日以上かけて、暑い環境での作業時間を少しずつ長くする。暑さから4日離れると順化が失われ始め、3〜4週間で失われる。新しく入った人や休み明けの人に配慮する
持病への配慮糖尿病、高血圧症、心疾患、腎不全などは発症に影響するおそれがあり、主治医や産業医の意見を踏まえて配慮する

出典:厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」(令和8年3月策定)。

スポットワークなどの短期の就労者は、原則として暑さに慣れていないものとして扱うのが望ましいとされています。繁忙期に人を増やす倉庫は特に注意してください。

株式会社ウエルアップが手伝えること

株式会社ウエルアップは健康測定機器を約40種類自社で持ち、次の形でお手伝いします。

健康測定は健康について考えるきっかけをつくるもので、健康診断や医学的検査ではありません。測定結果から熱中症のなりやすさや作業の可否を判断することはできません。持病のある方への配慮は、主治医や産業医の意見にもとづいて行ってください。

年間スケジュール:4月に準備、7月が重点

厚生労働省などが主唱する「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」は、令和8年(2026年)は4月が準備期間、5月1日〜9月30日がキャンペーン期間、7月が重点取組期間でした。設備の工事は現地調査と見積もり、工程の調整が要るため、夏前に終えるなら冬から春に動き始めます。

時期やること頼めること
10〜3月今年の記録を振り返り、翌年の対策と予算を決める。遮熱・空調の現地調査と見積もりメンテナンス事業
4月(準備期間)報告体制と手順の見直し・掲示、WBGT指数計の点検、休憩場所の準備、教育と啓発ウエルアップ(啓発・測定会)
5〜6月暑熱順化の計画を始める、作業前の体調確認を運用する、空調の洗浄を済ませる。6月の急な気温上昇に注意メンテナンス事業
7〜8月(ピーク)WBGTに応じた休憩、巡視、作業後の体調の確認—
9月キャンペーン最終月。気温が下がっても対策を続ける—

6月に油断しないでください。2022年は6月後半の急な気温上昇で、6月だけで10人が亡くなっています。

出典:厚生労働省「令和8年『STOP!熱中症 クールワークキャンペーン』実施要綱」(令和8年3月19日制定)、同「令和7年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」。

どこに何を頼めるか

課題手段担当する事業
屋根や壁からの熱で室内が暑い屋根・壁への遮熱シートの施工メンテナンス
空調の効きが悪い・汚れている空調設備の分解洗浄メンテナンス
空調が古い空調の保守と入替メンテナンス
搬入口から外気が入るビニールカーテン、シートシャッターメンテナンス
休憩スペースを区切りたいパーテーション、事務所設置などの内装仕上工事メンテナンス
従業員が自分の数値を知る機会がない健康測定会(血圧など)ウェルネス(ウエルアップ)
休憩室に測定機器を置きたい全自動血圧計などのレンタルウェルネス(ウエルアップ)
症状や手順を現場に広めたい熱中症の啓発ウェルネス(ウエルアップ)
夏場に人が足りない人材派遣人材

WBGT指数計の用意、報告体制と手順の決定、産業医との相談は、事業者自身が行う部分です。高年齢の作業者が多い職場は高年齢者の労働災害防止のための指針、夏場の立ちくらみと転倒の関係は立ちくらみと転倒もあわせてご覧ください。熱中症の取り組みは、健康経営優良法人の認定に向けた施策として記録に残すこともできます。

よくある質問

Q1. 職場の熱中症対策の義務化とは何ですか?

A. 2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則で、WBGT28度以上または気温31度以上の場所で連続1時間以上または1日4時間を超える作業が見込まれる事業者に、熱中症の疑いを報告できる体制の整備、重篤化を防ぐ手順の作成、関係作業者への周知が義務づけられたことです。手順には緊急連絡網、搬送先、作業離脱・身体冷却・医療機関への搬送などを含めます。

Q2. 工場や倉庫の屋内作業も義務化の対象ですか?

A. 対象です。屋内・屋外を問わず、WBGT28度以上または気温31度以上の場所で連続1時間以上または1日4時間を超える作業が見込まれれば当てはまります。2025年の職場の熱中症死傷者は製造業が365人で最多です。

Q3. WBGTはどうやって測ればよいですか?

A. JIS Z 8504またはJIS B 7922に適合したWBGT指数計で、作業場所ごとに実測します。黒球が付いていない測定器は、輻射熱がある屋内では正しく測れない場合があります。予報や観測所の値は参考値です。

Q4. 熱中症の疑いがある人が出たら、まず何をしますか?

A. 作業から離して涼しい場所で身体を冷やし、意識の異常があれば救急隊を要請します。返事がおかしい、ぼーっとしているといった様子も異常として扱います。回復しても急に悪くなることがあるため一人にせず、迷うときは#7119などに相談します。

Q5. 遮熱シートの施工や空調の洗浄は、いつ頼めばよいですか?

A. 夏前に終えるなら、1〜3月に現地調査と見積もりを済ませ、5〜6月までに施工する計画がおすすめです。フジテックスのメンテナンス事業は、工程の打ち合わせで生産活動への影響を最小限に抑えるよう調整します。休業日や夜間の施工もご相談ください。

Q6. 血圧計などの測定機器で熱中症を防げますか?

A. 測定機器で熱中症を防いだり判定したりすることはできません。株式会社ウエルアップの健康測定会や機器のレンタルは、従業員が自分の数値を知り、健康について考えるきっかけをつくるものです。高血圧症など持病のある方への配慮は、主治医や産業医の意見にもとづいて行ってください。

Q7. 熱中症対策に使える補助金はありますか?

A. 厚生労働省の中小企業向け「エイジフレンドリー補助金」に、令和8年度は熱中症対策コースがあります。受付は令和8年11月20日まで(延長後。予算に達すると途中で終了あり)で、対象経費は公募要領と事務局で確認してください。制度の概要はエイジフレンドリー補助金の解説にまとめています。

Q8. 設備と健康管理をまとめて相談できますか?

A. できます。一次窓口の株式会社ウエルアップが内容を伺い、遮熱・空調・内装はフジテックスのメンテナンス事業、健康測定会や啓発はウエルアップが担当します。ご相談フォームからご連絡ください。

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