酸素ボックス導入の流れ|検討から設置・運用開始までの7ステップ
この記事の結論
酸素ボックス導入の流れは、目的と利用人数の決定、設置場所と搬入経路の確認、形態の決定、メーカー比較、メニュー・料金の設計と試算、見積り・契約、搬入・設置・スタッフ研修の7ステップです。検討開始から運用開始まで最短でも2か月程度かかります。機種選びから始めず、設置場所と搬入経路の確認を先に行い、金額の比較は構成がそろった見積りの段階で行ってください。
導入は「機種を選ぶ」から始めない
酸素ボックスの導入で相談をいただくとき、多くの担当者はすでに機種を絞り込んでいます。ところが話を聞いていくと、置ける場所が決まっていない、誰が案内するか決まっていない、いくらで売るか決まっていないということが少なくありません。
この状態で機種を決めると、あとから全部やり直しになります。この記事では、順番を崩さない進め方を7ステップで示します。
| ステップ | やること | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 目的と利用人数を決める | ― |
| 2 | 設置場所と搬入経路を確認する | 1週間 |
| 3 | 形態を決める(カプセル/ボックス/ルーム) | ― |
| 4 | メーカーを比較する | 2〜4週間 |
| 5 | メニューと料金を設計し、試算する | 1〜2週間 |
| 6 | 見積り・契約(購入またはリース) | 2〜4週間 |
| 7 | 搬入・設置・スタッフ研修 | 1日〜(機種による) |
検討開始から運用開始まで、最短でも2か月程度を見ておいてください。ルーム型で内装工事を伴う場合は、さらに時間がかかります。
ステップ1:目的と利用人数を決める
最初に言語化するのは次の3つです。
- 誰が使うか/会員、患者、従業員、一般のお客さま
- 何人が、どのくらいの頻度で使うか/月に延べ何回を見込むか
- 何のために置くか/単価アップ、差別化、滞在時間、福利厚生
2番目がとくに重要です。月の延べ利用回数の見込みが、そのまま費用の妥当性の判断基準になります。「なんとなく人気が出そう」ではなく、既存の会員数や来院数から数字で置いてください。
ステップ2:設置場所と搬入経路を確認する
ここを先にやるのが、この記事でいちばん伝えたいことです。場所が決まらないと形態が決まらず、形態が決まらないとメーカー比較ができません。
確認すること
- 設置スペース(本体寸法+出入りのための余白)
- 天井高
- 床の耐荷重(ハードタイプのカプセルは本体だけで約75kg)
- 電源(AC100V/ブレーカー容量/専用回路の要否)
- 搬入経路(建物の入口、廊下幅、曲がり角、エレベーター、階段)
- 分割搬入の可否
最後の2つで詰まる事例が実際にあります。設置場所には入るのに、そこまで運べない。メジャーを持って、入口から設置場所まで実際に歩いて測ってください。
詳しいチェック項目は設置スペースと搬入のガイドにまとめています。
ステップ3:形態を決める
ステップ1と2の結果から、自動的に絞られます。
| 条件 | 形態 |
|---|---|
| 1人ずつ横になって使う/スペースが限られる | カプセル |
| 座って使いたい/複数人で入る/圧迫感を避けたい | ボックス |
| 部屋として使う/多人数/滞在時間を長くしたい | ルーム |
違いの詳細は酸素ボックスと酸素カプセルの違いをご覧ください。
ステップ4:メーカーを比較する
形態が決まってから比較します。メーカー比較の記事で挙げた7項目(形態・最大気圧・定員と寸法・電源・酸素濃縮器の有無・安全装置・保守)を、各社に同じ形で聞いてください。
この段階ではまだ価格を聞きません。構成が揃っていない状態で金額を並べると、比較になりません。
ステップ5:メニューと料金を設計する
多くの施設が飛ばす工程で、飛ばすと高い確率で稼働しません。
決めること
- 1回の利用時間/30分か60分か。回転数が変わります
- 1回あたりの単価/単品、回数券、月額オプション
- 既存メニューとの組み合わせ/施術後のセット、トレーニング後など
- 予約の取り方/飛び込み可か、予約制か
- 誰が案内し、誰が清掃するか
5番目を決めていないと、繁忙時に案内が回らず使われなくなります。メニュー設計のガイドに詳しくまとめています。
試算する
単価 × 見込み回数で月の売上を出し、リース料(または減価償却)+電気代+消耗品+人件費と並べます。収益化シミュレーションを参考にしてください。
ステップ6:見積り・契約
ここまで来て初めて、金額の比較が意味を持ちます。
見積りで確認すること
- 本体以外に何が含まれているか(搬入・設置・電気工事・付帯品)
- 酸素濃縮器は標準かオプションか
- 保証期間と、保証の範囲
- 定期点検の有無と費用
- 消耗品の交換周期と価格
購入かリースかは、試算の結果を見てから決めます。購入とリースの比較をご覧ください。リースの場合は審査があるため、決算書等の準備期間を見込んでおいてください。
ステップ7:搬入・設置・スタッフ研修
搬入当日までに
- 搬入経路の養生と、当日の動線確保
- 設置場所の片付け(本体寸法+作業スペース)
- 電源工事が必要な場合は、搬入前に完了させる
- 立ち会う担当者を決める
スタッフ研修で決めておくこと
- 操作手順(加圧・減圧・緊急時の対応)
- 利用前の確認事項(耳抜き、体調、該当する疾患の有無)
- 案内の言い方(医療機器ではないので、治療や効果効能を断定する表現は使えません)
- 清掃の手順と所要時間
- トラブル時の連絡先
3番目は全員に共有してください。スタッフの一言が、そのまま施設の表示になります。
運用開始後にやること
設置して終わりではありません。最初の3か月で次を記録してください。
- 月の延べ利用回数(ステップ1の見込みと比べる)
- どの時間帯に使われているか
- リピートしている人の割合
- 案内はしているのに断られる理由
見込みを下回っている場合、原因はほぼ案内の導線にあります。機器ではありません。稼働率を上げる方法に、具体的な打ち手をまとめています。
よくある質問
Q1. 酸素ボックスの導入にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. 検討開始から運用開始まで、最短でも2か月程度です。メーカー比較に2〜4週間、メニュー設計に1〜2週間、見積りと契約に2〜4週間が目安です。ルーム型で内装工事を伴う場合はさらにかかります。
Q2. 最初にやるべきことは何ですか?
A. 目的と利用人数を決め、次に設置場所と搬入経路を確認することです。場所が決まらないと形態が決まらず、形態が決まらないとメーカー比較が成立しません。機種選びから始めると、あとでやり直しになります。
Q3. 搬入で失敗しやすいのはどこですか?
A. 搬入経路です。設置場所には入るのに、そこまで運べないというケースがあります。建物の入口、廊下幅、曲がり角、エレベーター、階段を実際にメジャーで測り、分割搬入の可否も確認してください。
Q4. メニュー設計は導入前にやる必要がありますか?
A. あります。1回の利用時間、単価、既存メニューとの組み合わせ、予約の取り方、誰が案内し誰が清掃するかを決めておかないと、設置後に稼働しません。とくに担当を決めていないと、繁忙時に案内が回らなくなります。
Q5. スタッフ研修では何を決めておけばよいですか?
A. 操作手順、利用前の確認事項、案内の言い方、清掃の手順、トラブル時の連絡先です。とくに案内の言い方は重要で、酸素ボックスは医療機器ではないため、治療や効果効能を断定する表現は使えません。
Q6. 導入後、思ったより使われません。
A. 原因はほぼ案内の導線にあり、機器の問題ではありません。どの時間帯に使われているか、リピート率、案内して断られる理由を記録してください。具体的な打ち手は稼働率の記事にまとめています。