血流観察で言えること・言えないこと|導入前に押さえる表現の線引き
この記事の結論
血流スコープで言えるのは「今、こう見えています」までです。「だからあなたは◯◯です」と状態を判定した瞬間に、越えてはいけない線を越えます。この線引きをスタッフ全員で共有してから導入してください。逆に言えば、線さえ決まれば血流観察は非常に使いやすい道具になります。
この記事は、施設運営で判断に迷いやすい点を一般的な情報として整理したものです。個別の表現や運用が法令に適合するかどうかの最終的な判断は、所轄の行政庁や薬事・広告法務の専門家にご確認ください。導入する機器については、メーカーの説明に従ってください。
なぜ「提案が難しい」と感じるのか
血流スコープを検討する方から、いちばんよく聞くのがこれです。「面白い機器だとは思うけれど、お客さまに何と説明すればいいか分からない」。
難しく感じる理由は、はっきりしています。言いたくなることのほとんどが、言ってはいけないことだからです。
画面には毛細血管が映ります。人によって見え方が違います。そこで「この人は流れが悪そうだ」と思う。ところが、それを口に出した瞬間に問題になります。
この記事は、その手前で止まるための線引きです。
越えてはいけない3本の線
1. 状態を判定しない
画像を見て健康状態を判断し、それを伝えることはできません。体の状態について判断を下すのは医師の領域です。
血流スコープは医療機器ではありません。疾患の診断・治療・予防を目的とした機器ではなく、観察された画像から病気の有無や健康状態を判断できる機器でもありません。
2. 医療機器のように説明しない
非医療機器を、あたかも病気を見つけたり治したりできる機器であるかのように説明・広告することはできません。チラシ、店頭のPOP、ウェブサイト、SNS、そしてスタッフの口頭説明も、すべて同じ扱いです。
3. 施術の効果と結びつけない
「施術の前後で血流が良くなりました」という見せ方は、施術の効果を主張することになります。画像の変化は、押し当て方・室温・手の冷え・撮影位置でも変わります。条件をそろえていない前後比較を効果の根拠として示すのは、景品表示法の観点からも問題になり得ます。
言えること・言えないこと
| 言える | 言えない |
|---|---|
| 今、こう見えています | 血流が悪いですね |
| 拡大すると毛細血管はこう見えます | これは◯◯(病名)の兆候です |
| 普段は見えないものが見えます | この画像で健康状態がわかります |
| 前回の画像と並べるとこうです | 施術で血流が良くなりました |
| 見え方には個人差があります | 正常/異常です |
| 気になることは医療機関へご相談ください | 病院に行かなくても大丈夫です |
左の列だけで、カウンセリングは十分に成立します。実際、右の列を言わないほうがお客さまの反応は良くなります。判定されると身構えますが、「一緒に見る」と会話になるからです。具体的な運び方はカウンセリングへの組み込み方にまとめました。
スタッフが困る3つの場面と、答え方
「これって血流いいんですか?」と聞かれたら
「良い・悪いを判断できる機器ではないんです。今こう見えている、というところまでですね。見え方は人によっても、その日の状態によっても変わります」
正直に言って構いません。むしろここで曖昧に流すほうが、あとで信用を失います。
「他の人と比べてどうですか?」と聞かれたら
「比べるための基準がある機器ではないので、他の方との比較はできないんです。ご自身の前回と見比べるのが、いちばん分かりやすいと思います」
「病気じゃないですよね?」と聞かれたら
「そこはこの機器では分からないところです。気になることがあれば、医療機関でご相談ください」
この3つは、紙に書いて機器の横に貼っておいてください。とっさに聞かれると、善意で踏み込んでしまいます。
画像を保存・掲載するときに決めること
撮影の同意
お客さまの体の一部を撮影して保存します。何のために撮り、どこに保存し、いつまで持つのかを伝えて同意を得てください。店舗の個人情報の取り扱いに含めておく形が一般的です。
掲載するとき
- 本人の同意を、掲載範囲まで含めて取る/店内掲示なのか、SNSなのか、ウェブサイトなのかで意味が違います
- 撮影条件をそろえる/照明・倍率・押し当て方・部位。条件が違う画像を並べて変化として見せることはできません
- 効果の根拠として使わない/「施術でこう変わりました」という見せ方はしない
- 特別によく写った例だけを選ばない
体験談を載せるとき
お客さまの声として掲載したものであっても、掲載した事業者の表示として扱われます。「お客さまが言っていることだから」は通りません。効果を断定する体験談は、事業者が効果を主張しているのと同じ扱いになります。
「効果には個人差があります」と注記を添えれば断定表現が許される、というものでもありません。本文そのものを断定しない書き方にする必要があります。
施術所(整骨院・鍼灸院など)で使う場合
施術所の広告には、一般の店舗より厳しい制限があります。院内で使うことと、それを外に向けて広告することは別の話です。
- 看板・チラシ・ウェブサイトに何を書けるかは、施術所の広告規制の範囲で判断してください
- 「血流観察ができます」と掲げること自体の可否も含めて、所轄の保健所にご確認いただくのが確実です
- 院内での説明は、上の「言えること」の範囲で行ってください
施術所の広告可能事項は、業態と自治体の運用によって判断が分かれることがあります。導入前に所轄の保健所へご相談ください。当社から可否を保証することはできません。
導入前に決めておく6つ
- 言ってはいけない言葉のリスト/言い換えとセットで1枚にする
- 3つの質問への答え/「血流いいですか」「他の人と比べて」「病気じゃないですよね」
- 画像の保存ルール/保存先、保存期間、誰が見られるか
- 撮影同意の取り方/口頭か書面か
- 掲載の確認担当/SNS・POPを公開前に1人が見る
- 医療機関へ案内する基準/どういう相談が出たら受診を勧めるか
1と2は必ず紙にしてください。口頭の共有だけでは、スタッフが入れ替わったときに失われます。導入全体の流れは導入後の運用にまとめています。
よくある質問
Q1. 血流スコープで健康状態はわかりますか?
A. わかりません。血流スコープは皮膚表面を拡大して観察する機器であり、医療機器ではありません。観察された画像から病気の有無や健康状態を判断することはできず、お客さまにそうした説明をすることもできません。
Q2. 「血流が悪いですね」と言ってはいけないのですか?
A. 言えません。状態を判定して伝えることになるためです。「今こう見えています」「見え方には個人差があります」という事実の範囲にとどめてください。判定を避けたほうが、お客さまとの会話はむしろ進みます。
Q3. 施術の前後で画像を比べるのは問題ありますか?
A. 施術の効果として示すことはできません。画像の見え方は押し当て方・室温・手の冷え・撮影位置でも変わるため、条件をそろえていない前後比較を効果の根拠にすることは、景品表示法の観点からも問題になり得ます。
Q4. SNSに観察画像を載せてもよいですか?
A. 本人の同意を掲載範囲まで含めて得たうえで、撮影条件をそろえ、効果の根拠として使わない形であれば掲載できます。特別によく写った例だけを選ばないこと、断定的な説明を添えないことにも注意してください。
Q5. お客さまから「病気じゃないですよね」と聞かれたら?
A. 「この機器では分からないところです。気になることがあれば医療機関でご相談ください」とお答えください。安心させようとして「大丈夫ですよ」と言うことは避けてください。この答え方は紙に書いて機器の横に貼っておくことをおすすめします。
Q6. 整骨院で使う場合、看板に書いてもよいですか?
A. 施術所の広告には一般の店舗より厳しい制限があり、掲げられる内容は業態と自治体の運用で判断が分かれます。所轄の保健所にご確認ください。院内で機器を使うこと自体と、それを外に広告することは別の話として整理してください。
Q7. 血流ドクターオートの体験やデモはできますか?
A. 可能です。実機をご覧いただきながら、この記事で挙げた「言えること・言えないこと」を踏まえた具体的な説明の運び方までご相談いただけます。スタッフ向けの説明シートの作り方もあわせてご提案します。お問い合わせフォームからご連絡ください。