目次
転倒はすべての従業員に起こり得るリスク
転倒事故は高齢者だけのものではありません。
すべての年代の労働者に潜む職場リスクとして、厚生労働省も注意を呼びかけています。
特に、未病の段階で現れる「ふらつき」「疲労」「集中力の低下」などは、
転倒の予兆であるケースも少なくありません。
転倒リスクを“未病”で捉える視点
「未病」とは、健康と病気の間にあるグレーゾーン。
転倒リスクも同様に、見えにくい段階から予防することが重要です。
健康経営に取り組む企業は、こうした“未病”の段階での対策こそが、
労働災害の削減・生産性の向上・従業員満足度の向上に寄与すると理解し始めています。
職場でできる転倒予防の3つの対策
✔ ① 環境面の整備(物理的リスクを排除)
- 床の段差・たわみのチェック
- 濡れた床や配線の露出防止
- 通路の照明・足元表示の見直し
日常の点検チェックリストを活用することで、転倒しやすい状況を未然に排除できます。
✔ ② 従業員の身体機能チェック(健康測定)
- バランス感覚、脚力、反応速度などの測定
- 転倒リスクを可視化できる測定機器の導入
- 社内の保健指導・運動プログラムとの連動
加齢や生活習慣の変化による体力低下を数値で把握することが、行動変容の第一歩です。
✔ ③ 啓発・教育活動(意識向上)
- 転倒の多い場所・時間帯・原因などのデータ提示
- 経験談の共有(ヒヤリ・ハット事例など)
- 問題を“個人の注意不足”にしない組織文化の醸成
“気づかせる”“学ばせる”だけでなく、心理的安全性のある職場づくりも重要です。
健康経営と転倒予防の接点
転倒によるけがは、労働災害としてのコストだけでなく、
長期休職やモチベーション低下など波及的な影響をもたらします。
健康経営の一環として転倒対策を行うことで、次のような効果が期待されます:
- 生産性の安定と向上
- 休職・離職リスクの軽減
- エンゲージメント向上・組織風土の改善
よくある質問(Q&A)
Q. 転倒予防のための測定機器とは?
A. 片脚立ち測定、反応速度テスト、歩行分析装置など、
身体機能を数値化する機器があります。レンタル活用でコストを抑えることも可能です。
Q. 職場のレイアウト変更も必要?
A. はい。通路幅の確保、机や棚の位置見直し、表示の改善など、物理的対策の見直しが効果的です。
まとめ|転倒予防は、健康経営の土台になる
- 未病のうちに兆候をつかみ、予防へつなげる
- 職場環境・測定・啓発の3つの視点からアプローチ
- 従業員の安全意識と組織全体の健康経営力が高まる
転倒リスクの可視化と、未病のうちからの予防が、
「安心して働ける職場」づくりの第一歩になります。