従業員の健康管理、会社はどこまで関与すべき?法令と実践方法をわかりやすく解説

従業員の健康管理、会社はどこまで関与すべき?法令と実践方法をわかりやすく解説
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「健康管理」は誰の責任?会社と従業員の境界線

「社員の健康が心配。でも会社がどこまで踏み込んでいいのか…」
そう悩む人事・総務担当者の方は多いのではないでしょうか。

実は、企業には法令上の「最低限の健康管理義務」がある一方で、健康経営の観点から積極的に支援する流れも強まっています。


企業に求められる“健康管理”とは?法令上の最低ライン

企業が必ず実施しなければならない項目は、以下の通りです。

✅ 定期健康診断(年1回以上)

  • すべての常時雇用者に対し実施義務あり(労働安全衛生法第66条)
  • 未受診者への受診勧奨も義務の一環です

✅ ストレスチェック(従業員50人以上)

  • 年1回、厚労省が義務付け(2015年法制化)
  • 実施だけでなく、結果の分析・活用も重要

厚労省:ストレスチェック制度

✅ 産業医・衛生委員会の設置(一定規模以上)

条件義務
従業員50人以上衛生管理者・産業医の選任
従業員50人以上の事業場衛生委員会の設置(月1開催)

健康経営視点で“できること”を増やす

最低限の法令対応だけでは、社員の健康は守れません。
健康経営を進める企業では、以下のような「プラスアルファ」の取り組みが進んでいます。

健康経営視点で“できること”を増やす

実践しやすい健康管理施策5選(中小企業向け)

① 健康診断後のフィードバック制度

医師のコメントをもとに保健指導や再検査推奨の面談を実施。
体調改善につながるだけでなく、社員への“関心”が伝わります。


② 衛生委員会での健康情報共有

月1の衛生委員会で、健康施策・ストレスチェック結果・職場環境の改善点などを議論。
議事録を全社員に公開することで透明性が生まれます。


③ メンタル不調の早期察知と対応

  • 上司への教育(ラインケア)
  • 外部EAPや匿名相談窓口の設置
  • 「いつでも話せる」文化づくり

④ リモートワーク者への健康配慮

  • オンライン面談での状況把握
  • 姿勢改善グッズの支給
  • 離れていてもケアする姿勢が大切です

⑤ 健康測定イベントの活用

血管年齢・体組成などの測定イベントを定期開催し、健康意識を“楽しく”高める。
企業のサポート姿勢が社員に伝わります。


よくある質問(Q&A)

Q. 健康情報の取り扱いってデリケートでは?

A. はい。産業医や指定担当者だけがアクセスできるようにし、個人情報保護の体制整備が必須です。

Q. 健康経営って大企業だけが対象ですか?

A. いいえ。中小企業にも認定制度は開かれています。規模に合った取り組みが評価されます。


まとめ|法令+αの“ちょうどよい関与”を目指そう

  • 健康診断やストレスチェックは“最低限の義務”
  • 衛生委員会や産業医の活用で“見える健康管理”を
  • 「社員のためになるか?」という視点で柔軟な施策を

まずは1つ、小さなアクションから始めてみてください。


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